2017年10月18日水曜日

不断の歩みこそ生きていることの証ではないか



インドの詩人ムハンマド・イクバール(Muḥammad Iqbāl, 1877–1938)のウルドゥー詩「旅 するヒズル」の「砂漠の旅」の一節に

私が砂漠を旅することに何故おまえは驚くのか
不断の歩みこそ生きていることの証ではないか 
おお、屋内に座す者よ、見たことがないのか 
砂漠に出発の鈴音が鳴り響く光景を 悠然と砂丘を歩く鹿の歩きぶりを 
身一つで休み、里程標のない旅を続けるのを 
暁に素早く動く星が現れ出るのを

というものがある。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/…/pdf/kb2_2/17matsumura.pdf




さらに彼の作品の「イスラームの夜明け」には

確固たる信仰、不断の努力、世界を魅了する愛――
これらこそ生の闘争における勇者の剣である 
勇者に必要なのは気高い精神、高潔な人格   
燃える心、清らかな眼、奮い立つ魂である

と表現される。イクバールはペルシア語、ウルドゥー語で優れた作品を遺し、インド亜大陸のイスラーム国家を創設するという考えを提唱した人物でもあり、パキスタン国家創設に重要な示唆を与えた。

 「不断の努力や歩み」「気高い精神」「高潔な人格」をもった人物が政界で目立たなくなった。公約を破り、虚偽の答弁を繰り返していてはとても「高潔」とはいえない。「筋を通す」を英語で言えば、「be consistent」になるだろうが、「まさに不断の、一貫した誠実な努力や姿勢」が国民のためには必要だ。

 27日は水天宮のホテルで開かれた「中近東アフリカ婦人会」のバザールに顔を出した。イエメン、シリア、パレスチナなど紛争国や係争地域のブースも並び、これらの国や地域の工芸品や食品、また料理が売られていた。チャリティバザールの収益は在京の各国大使館を通じて中近東アフリカ諸国の福祉施設の運営などに役立てられるそうだ。

「情けは人のためならず」とは、「人に情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる。人には親切にせよという教え。」という意味である。アブデュルレシト・イブラヒム(1857~1944年)はタタール人で、ロシア帝政の対イスラーム政策に反発して、ロシアのムスリム運動を指導した。彼は、日本を訪問した際に「イスラーム文明こそ本当の人道主義といえましょう。相互扶助、互恵の精神、これすべてイスラームの特徴です」と説き、そのイスラームの徳は日本人によく備わっていると日本人の高潔を称賛した。他文明の人々から称賛されるような日本人の高潔を取り戻したい。




ムーサーの一撃
著者
:ムハンマド・イクバール 著
翻訳者
:片岡弘次 訳
ジャンル
:詩
原作出版年代
:20世紀前半
総頁数:297

本書の著者イクバールは、アジアの現代文芸シリーズ『ジブリールの翼』(片岡弘次氏訳・2011年出版)の著者でもあります。
いずれの作品もインド・パキスタン分離独立(1947年)前の1930年代の英領インドにおいて、衰退の道をたどるイスラーム社会の将来を憂い、イスラーム教徒の再生と覚醒のメッセージを詩に託していますが、本書ではタイトルに含まれる“一撃”に表されるように、より直截なメッセージとなって迫ってきます。
詩的技巧に優れた『ジブリールの翼』と哲学的思考に力点が置かれた『ムーサーの一撃』を併せてお読みいただければ幸いです。


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ムハンマド・イクバール『ムーサーの一撃』を読みました

ムハンマド・イクバール『ムーサーの一撃』
(片岡弘次訳、公益財団法人大同生命国際文化基金、2014年12月)
を読みました。

本書はパキスタンの詩人イクバール(1877-1938)の詩集です。

イギリスに統治されて
教育も文化も西洋化していく
インドのイスラム教徒たちに対して、
本来のイスラム教徒ととしての
自我をもつことを訴える
内容です。

そのため非常に宗教的で政治的な詩集です。

しかしイスラム教やインド・パキスタンの歴史を知らなくても、
本書を読めば
独りの詩人が強く大勢に
文化的な、宗教的な独立を訴えかけているのが感じられます。

ある時代に、
外国の統治による自国の文化・宗教の変質を危惧し、
真剣に自己の思想を訴えた人の声として、
内容への賛否にかかわらず、
一読に値する本だと思います。

最後に巻頭の一篇を紹介して終わります。

「自由な気持ちは一つ場所に止まれない
そよ風のように 旅の気持ちをつくれ
千の泉がおまえの道の石から湧き出る
自我に沈潜しムーサーの一撃を加えよ」
(23頁)

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